ピンチを恐れずチャンスを奢らず
我が国には同族系の企業様が数多く存在しています。
二代目・三代目と続く企業様も多く、これも我が国の特筆すべき企業形態とも云えます。
初代創業者への思いを馳せると、想像を超える大変なご苦労を重ねて来られた事でありましょう。
その企業をご子息にお譲りし、その思いを託したくなるご意志も日本人としてよく理解出来ます。
優心和尚もこの形態の企業様によくよく行き着く事からも、その数の多さを肌で直接感じる次第です。
初代は初代でゼロからのスタートでしたので、自ずと冒険を恐れずにチャレンジ出来ました。
恐れずに向かうからこそチャンスが訪れ、そのチャンスを上手く活用し企業を発展させてきました。
そして二代目・三代目・・と引き継がれてゆくのですが、これはこれで大変なご苦労が待っています。
先ずはこの受け継いだ企業の存続、そして自身のカラーをどう発展・業績に結び付けるのか・・・
経営者は孤独です。それに増して跡継ぎという立場はより一層の孤独感を味わいます。
これは今までお関わりのあったこの企業形態の場合、ほぼ同様のケースに陥っておられます。
自身のカラーを全面に出したいからこそより孤独になり、そしてそれが得てしてワンマン色を強める。
孤独に闘うから成果が出ない。成果が出ないからピンチが来る。またピンチを恐れ成果を導けない。
また一方では偶然のチャンスに奢り、小さな成果も己の成す力と勘違いを繰り返すという始末。
これでは誰も救ってはくれません。そして思いも気持ちも何時しか儚いものへと変貌して行きます。
こうした負のスパイラルへ陥り、「もう辞めたい・・」と吐露する経営者の方を大勢拝見してきました。
そうした方々へ優心和尚はこう語っていました。
「信仰を持ちなさい。」「自身の会社組織への信仰を持つのです。」
信仰を持つと云う事は、自身の力のみではなく、それをも超える力が働くことで、
自身の思いを、その気持ちを成し遂げる力へと変貌させる手段と道具に成り得ます。
そして自身より強い、己を超える力が常に作用している事実を自ずと悟ることにより、
慢心する事無く、これを持って企業活動を謙虚に育むことで、必然的に「和」を創造するのです。
そこにあるのは「ありがとう」と云う心からの感謝の念です。
これだけで貴方が変わり、貴方の意識が変わり、貴方の組織が変わり、そこに「和」が生まれます。
何だかとても難しい話のように思えましたが、我々僧侶が「南無阿弥陀仏」とお声明を唱えるように、
それを「ありがとう」と唱えると云う解釈をすることで、スッと腹に収まった感じがしました。
今回は同族・・での例でしたが、これはこれでそれだけでは無く、どの様な組織でも通じますね。
同様なケースでお悩みの方が、何らかの参考にして頂ければ有難く存じます。
合掌